「とりあえず、ここからは各々探そうか」
広い図書館の本棚を眺めながら、時雨くんが言った。
──契約の原型
──人間と吸血鬼の初期共存例
──能力暴走に関する過去事例
気になる項目はいくらでも出てくる。
棚から棚へと移動しながら目に留まる本を次々と手に取っていくうちに、気づけば腕の中は分厚い本でいっぱいになっていた。
「……ちょっと、持ちすぎたかも……!」
バランスを取りながら歩いているけど視界は完全に本で塞がれていて、前がよく見えない。
でも、今は一冊でも多く手がかりになりそうなものを集めたくて。
次の瞬間だった。
「──っと!」
通路の角から、誰かが急ぎ足で走ってくる気配を感じた時には、もう遅かった。
どんっ。
軽い衝撃とともに、私の腕から解放された重い本が一斉に床へと散らばる。
静まり返った館内に、バサバサッ、ドスンと大きな落物音が派手に響き渡ってしまった。
「わっ……!?」


