私は軽く睨んだ、つもりだった。
でも叶兎くんはそんな私の視線を気にするどころか、私の隣に腰を下ろして満足そうに目を細める。
「なに、可愛い顔して」
もっ、もう……
からかわれてるのが分かってるのに、反論できないのが一番悔しい。
「胡桃も大変だな」
さらっと追い打ちをかけられて、思わず肩が跳ねる。
叶兎くんって、絶対いじわるするの好きだよね……!?
最近それ、さらに加速してる気がするんだけど。
「……とりあえず」
時雨くんが、軽く咳払いをして話を切り替える。
「話があって来たんだけど、いい?」
そう言いながら、ちらっと私たちを一瞥する。
さっきまでの空気を一度飲み込むみたいに、時雨くんは深く息を吐いてから正面のソファに腰を下ろした。
「最近、吸血鬼の暴走件数が増えてる件について」
その一言で、空気が変わった。
叶兎くんの表情が、ふっと引き締まるのが分かった。

