総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ





「……なんか俺も今日は疲れたな。ねー胡桃こっちきて」

「えっ」



声を上げる間もなく、腕を引かれる。


体ごと引き寄せられて、そのまま──気づいた時には、私は叶兎くんの膝の上に座らされていた。



後ろから腕が回ってきてぎゅっと抱き寄せられる。

一気に距離が縮まって、背中に体温が伝わってきた。



「か、叶兎くん……この書類まだ書き終わってないから…!」

「このままでも書けるでしょ」



いや、無理だよ…!?

この距離、この体勢で、どうやって冷静でいろっていうの。


身じろぎすると、叶兎くんの腕がさらにきゅっと締まった。



「ほら、ちゃんとペン持って」



耳元で低く囁かれて、心臓が跳ねる。



「持ててるけど……書けるとは言ってない……!」



言い訳みたいにそう言うと、叶兎くんが小さく笑ったのが背中越しにわかった。

もう…また揶揄ってる…!


わざとらしく首元に顔を寄せられて、思わず肩が跳ねる。



「いま吸って良い?」

「えっ、ここで?せめて部屋で……」

「こんな体勢で何を今更。大丈夫、ちょっとだから」



…それは、そうなんだけど。


ここ、普通に他の人も入ってこれる場所だし。

こんな、イチャイチャする場所ではない…!