「……なんか俺も今日は疲れたな。ねー胡桃こっちきて」
「えっ」
声を上げる間もなく、腕を引かれる。
体ごと引き寄せられて、そのまま──気づいた時には、私は叶兎くんの膝の上に座らされていた。
後ろから腕が回ってきてぎゅっと抱き寄せられる。
一気に距離が縮まって、背中に体温が伝わってきた。
「か、叶兎くん……この書類まだ書き終わってないから…!」
「このままでも書けるでしょ」
いや、無理だよ…!?
この距離、この体勢で、どうやって冷静でいろっていうの。
身じろぎすると、叶兎くんの腕がさらにきゅっと締まった。
「ほら、ちゃんとペン持って」
耳元で低く囁かれて、心臓が跳ねる。
「持ててるけど……書けるとは言ってない……!」
言い訳みたいにそう言うと、叶兎くんが小さく笑ったのが背中越しにわかった。
もう…また揶揄ってる…!
わざとらしく首元に顔を寄せられて、思わず肩が跳ねる。
「いま吸って良い?」
「えっ、ここで?せめて部屋で……」
「こんな体勢で何を今更。大丈夫、ちょっとだから」
…それは、そうなんだけど。
ここ、普通に他の人も入ってこれる場所だし。
こんな、イチャイチャする場所ではない…!

