今度はロビーの奥から歩いてきた隊員が、私の顔を正面から見た瞬間、ビクッと目に見えて足を止めた。
その目は怯えと驚きに揺れているように見えて。
私と目が合った途端気まずそうにサッと目を逸らし、逃げるように足早に去っていっていった。
今の人は多分…私があの動画に写ってる女の子だって気づいてるのだろう。
私、最近はそれなりに表に出る機会もあって顔を知られてると思ってたけど、案外そうでもないのかな?
正直その方がありがたいし騒ぎも起こしたくないので、私のことは気づかないでそっとしておいてほしいのが本音ではある…。
……うん、気にしても仕方ないよね。
無視無視!
小さく頭を振って雑念を追い払い、ハンターの資料室へと足を踏み入れた。
一歩中に入ると、そこはまるで月宮大学の図書館のような空間だった。
天井まで届きそうな大きな本棚に、ファイルや分厚いバインダーが背表紙を揃えて整然と収められている。
私は手前の棚から、少し年季の入ったファイルを一冊引き抜いた。
背表紙には『過去三年間の能力暴走事件記録』と書かれていて、ページをパラパラとめくっていく。
基本的な情報は、吸血鬼側の持っている資料と同じ。
それでもハンター側の主観で書かれている分、警備隊の資料には載っていないような考察や、また違う角度の鋭い情報が得られて。
夢中になって本棚の間を歩き回りさらに奥の資料を漁っていると、本棚の隅っこ、少し埃をかぶった薄暗い一角に隠されるように押し込まれているファイルが目に留まった。
背表紙の文字は、かすれて今にも消えそうになっている。


