総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ





大通りはさっきよりも人が増えていて、

朝の仕込みを終えた店から、香ばしい匂いが流れてくる。



「ここ、昔よく通った道なんだ」



隣を歩く叶兎くんが、何気ない様子でそう口にした。



「学校帰りとか?」

「いや、逃げ道」



……逃げ道???


想定外すぎる答えに私が思わず首をかしげると、叶兎くんはどこか楽しそうに苦笑した。



「小さい頃、怒られるとさ。母さんから逃げるルートが何個かあって」

「ふふ、叶兎くんでも怒られてたんだ」

「そりゃね。それなりにやんちゃだったし」



叶兎くんにもそんな時期が…!

なんか、ちょっと見てみたいかも。



そんな想像をして胸を躍らせながらしばらく歩いていると、叶兎くんがふと足を止めた。

こちらへ振り向くと、じっと私を見つめてくる。



「……胡桃。俺さ」