長い、沈黙の数秒。
耳をすますと電話越しに、観念したように低く息を吐き出す音が聞こえた。
『……つまり、閉じ込められた腹いせに、自分から条件をふっかけて交渉したってこと?』
な、なんか言い方に語弊がある気もするけど…。
「そういうことになる、かな…?せっかく今、ハンターの本部にいるわけだし」
私が少しだけ胸を張って言うと、叶兎くんの気配がふっと柔らかくなった。
『……胡桃ってさ』
「え……?な、なにその反応……?」
怒られるかと思ったけど、その声には呆れたような、そしてほんの少しだけ、愛おしそうな笑みが混ざっていた。
『いや……相変わらずだなぁと思って。まあ、そういう無茶苦茶なところも、全部好きなんだけどね』
「──っ」
不意打ちだった。
あまりにもさらりと好きなんて言葉を囁かれて、心臓が大きく跳ね上がる。
こういうことを、何でもないことみたいに平然と言うから、本当に心臓に悪すぎる。


