総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




長い、沈黙の数秒。

耳をすますと電話越しに、観念したように低く息を吐き出す音が聞こえた。



『……つまり、閉じ込められた腹いせに、自分から条件をふっかけて交渉したってこと?』



な、なんか言い方に語弊がある気もするけど…。



「そういうことになる、かな…?せっかく今、ハンターの本部にいるわけだし」



私が少しだけ胸を張って言うと、叶兎くんの気配がふっと柔らかくなった。



『……胡桃ってさ』

「え……?な、なにその反応……?」



怒られるかと思ったけど、その声には呆れたような、そしてほんの少しだけ、愛おしそうな笑みが混ざっていた。



『いや……相変わらずだなぁと思って。まあ、そういう無茶苦茶なところも、全部好きなんだけどね』

「──っ」



不意打ちだった。

あまりにもさらりと好きなんて言葉を囁かれて、心臓が大きく跳ね上がる。


こういうことを、何でもないことみたいに平然と言うから、本当に心臓に悪すぎる。