「ただいま〜」
入ってきたのは琥珀だった。
その顔にはいつもの調子の良い笑顔はなく、どことなく疲労の色が濃く滲んでいる。
琥珀は部屋の椅子を引いて腰を下ろすと、ふぅ、と深い息を吐き出した。
その手には、タブレットがしっかりと握られている。
私はゴクリと息を呑み、まっすぐに琥珀を見つめた。
「…琥珀」
「ん?」
「……私と、取引しない?」
「…………取引?」
琥珀はきょとんとした顔で、目を丸くしてこちらを見た。
この状況で一体何を言い出すんだ、という警戒と、純粋な興味が半分ずつ混ざり合ったような顔。
「…私は、大人しくここにいればいいんでしょ?だったら、その代わり建物内は自由に動けるようにしてほしいの。それでハンターが持ってる情報や資料を、私にも閲覧させて」
一気にまくしたてると、琥珀は何も言わずに私の言葉をじっと待っている。
私は諦めずに続けた。
「それをしてくれるなら余計な抵抗もしないし、大人しくハンターの保護下にいてもいい」
「……ふぅん」
琥珀は細い人差し指を自分の顎に当てて、しばらくの間、値踏みするような視線を私に送ってきた。


