総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ



【胡桃side】




静まり返った部屋の中で、私は何回目になるか分からないため息を吐き出した。


デスクの上に積み上げた、分厚いファイルの山。

その脇に置いたノートパソコンの画面には、ハンター本部が過去数年で記録した吸血鬼関連の事件報告がずらりと並ぶ。


目の奥がチカチカするのを堪えながら、私は夢中で画面をスクロールしていく。



ただ閉じ込められているだけなんて絶対に嫌だからね。

と、やけになりつつも。少しでも役に立ちたくて、気になる事件をいくつかピックアップしては頭の中で整理していく。



画面の最下部までスクロールすると、指先がぴたりと止まった。



……これ、何だろう……。



事件ファイル一覧の、一番隅っこ。

あからさまに他とは違う、アクセス権限が制限された奇妙なフォルダが目に飛び込んできた。



怪訝に思いながらカーソルを合わせ、カチカチとマウスをクリックしてみる。

でも、画面に非情に表示されたのは「アクセス許可がありません」という真っ赤なエラーメッセージだけだった。




……うーん…ハンターのパソコンでも開けないデータ…?



ただ、ファイル名だけは読み取れた。

──「V計画関連記録」



それが一体何を意味するのかを考え込もうとした、その時だった。

コンコン、と静かなノックの音が部屋に響く。



あ、琥珀が戻ってきたのかな?

そう思ってバッと顔を上げると、ドアを開けて入ってきたのは予想外の人物だった。