「……あの男──卯月要には、契約や純混血の研究が進むと不都合がある、ってことか」
叶兎の呟きを聞きながら、俺の頭の中でバラバラだったパズルのピースが、カチリ、カチリと嫌な音を立てて一本の線へと嵌まっていくのが分かった。
すべてが繋がっている。
今起きている吸血鬼の連続暴走事件も、胡桃ちゃんを狙うあの男の執着も、そして俺の両親を奪い去ったあの雨の日の惨劇も。
あの男の手は俺が思っていたよりもずっと長く、ずっと前から、俺たちの運命に伸びてきていた。
「……ふざけんなよ。」
ぽつりと、小さく呟いた。
胸の奥の底の方から、激しい怒りなのか、それとも堪え切れないほどの深い悲しみなのか、自分でも制御できないドロドロとした感情が一気にせり上がってくる。
「……天音」
ゆっくりと顔を上げると、叶兎は何も言わずに、ただ真っ直ぐに俺の目を見つめていた。
その瞳から伝わるのは安っぽい同情なんかじゃない。
もっと別の……冷徹で、絶対にブレることのない、明確な『覚悟』の光。
……あの男を、止める。絶対に。
言葉にしなくても、叶兎の目がそう語っていた。
その強い眼差しに触れた瞬間、俺の胸の中で…絶望の炎が、あの男を絶対に駆逐するという冷たい復讐の炎へと変わっていくのが分かった。


