「この資料さー……」
タブレットをコツンと叩く音。
「赤羽くんが捕まってた、あの廃墟の地下研究所から、俺が押収してきたんだけど」
「……!」
隣の叶兎も、小さく息を呑む気配がした。
あの廃墟……それは、あの男。
吸血鬼暴走事件の主犯であり、今まさに俺たちが総力を挙げて行方を追っている最中の犯人──『卯月要』の研究所だ。
「……あの廃墟からって……でも、叶兎を救出して、特警で再調査しようとした時あの研究所には何も残ってなかったはずじゃ……?」
「君達、俺が救出に協力した本当の理由忘れちゃったの?」
楪くんは呆れたように肩をすくめてみせた。
…………そうだ。
あの時、ハンター側の楪くんが危険を冒してまで動いていた目的は、卯月要側に奪われた「ハンター側の機密データ」を取り戻すことだった。
「研究所の隠し資料室にあったメモリーカードとかさ、そんな証拠の塊を残しておくわけないじゃん。全部ちゃっかり回収させてもらったよ」
「……なるほどね。相変わらず抜け目ないっていうか」
叶兎が冷ややかな声で感心したように呟く。
ハンターらしいといえば、あまりにも彼らしい。


