総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




「……これ、本物……?」

「もちろん。ハンターの最機密ファイルから引っ張ってきたやつだから、取扱いは厳重に気をつけてね?」



楪くんは笑顔のまま、チクリと釘を刺すような口調で言った。

それから指先で画面を横にスワイプし、資料の一枚目を大きく表示する。


画面の最上部には、太い文字で『捜査報告書』と印字されていた。



そして、被害者名の欄。

そこに書かれているのは、俺が忘れるはずもない名前。



──『栗栖 唯都』『栗栖 杏』

俺の、父さんと母さんだ。



「単刀直入に言うよ、栗栖天音くん」



楪くんがタブレットから目を離し、真っ直ぐに俺の目を見つめてきた。

その瞳は、冷酷なまでに冴え渡っている。



「これは事故なんかじゃない。緻密に仕組まれた、計画的な殺人」



ドクン。

心臓が、一拍どころか永遠に止まったかのような衝撃が走った。



「……殺、人……」



頭のどこかで、やっぱりそうだったんだ、という妙な納得感があった。

俺自身ずっと違和感を抱いていたからこそ、調べていたのだ。


だからこれが殺人という結果だとしても、想定の範囲内のはずだ。

だけどいざ生々しい現実として言葉を突きつけられると、目の前が暗くなるほどの衝撃が体を襲う。