「……親の事故の話、俺、ずっと執念深く調べてたんだよ。でも、特警のデータにすら何も出てこなくてさ。ただの悲惨な事故として処理されて、それで終わり。それなのに……」
俺は椅子の背もたれに深く深く沈み込んだ。
見上げた天井の白い蛍光灯の光がやけに目に眩しくて、チカチカと痛い。
「……ハンターの楪がわざわざ昔の記録を掘り返して持って来るってことは、何か…あるんだろうね」
「……うん。」
俺と叶兎はデスクの上に散らかっていた資料を素早く片付け、資料室の隅にある応接スペースへと移動した。
パイプ椅子が三脚と、長年使い古されて天板の剥げかけた小さなテーブルがあるだけ。
特殊警備隊の設備なんて、どこぞのホテルのような洒落た造りとは程遠い、実用性だけの殺風景な空間だ。
コン、コン。
がちゃり、と重い鉄製のドアが開く。
「お待たせ~」
片手に薄型のタブレット端末といくつかの古い紙の書類を大事そうに抱えながら、楪琥珀が入ってきた。
テーブルを挟んだ俺たちの向かい側に腰を下ろすと、無言でタブレットを起動する。
チカッと、青白い液晶の光が楪くんの顔を照らした。
「じゃ、さっそく本題に入ろうか」
画面に映し出されたのは、明らかに何年も前のものだと分かる古い捜査記録のスキャン画像。
そこに並ぶ文字列、日付、そしていくつかのコード。
それらは俺が何年も何年も探し続けて、どうしても見つけられなかった『失われたデータ』とも言えるもの。


