聞きたい。
ずっと知りたかった。
あの雨の日に、父さんと母さんに本当は何が起きたのか、その真相を。
「……わかった。入口の警備員には話を通しておく」
そして驚いたことに、隣の叶兎が静かに許可を出した。
「……え、叶兎、いいの?」
「話の内容次第だからね。俺も同席するけどいい?」
「……まぁ、うん。そうしてくれた方がありがたいかも」
俺は小さく息を吐きながら呟いた。
正直に言えば、一人でその話を聞くのは、怖かった。
蓋を開けた時、一体どんな真実が飛び出してくるか分からない。
隣に叶兎がいてくれた方が、まだ理性を保っていられる気がした。
『おっけー、じゃあ一時間後くらいに行くね。よろしく』
プツッ、と通話が切れる。
資料室に、叶兎が端末をデスクに置く、コン、という静かな音だけが響いた。
「……天音。」
叶兎が、静かにこちらを見つめてきた。
「……大丈夫?」
「……大丈夫に見える?」
さっきとはまるで立場が逆。
いつものように軽口で返したつもりだったけど、自分でも自覚できるくらい、動揺して動悸が止まらない。


