総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ





「俺はこれからまた仕事あるからもう行くけど、この部屋の中なら好きにしてていいよ。ご飯もちゃんと美味しいの持ってきてあげるし、不自由はさせないから」 



好きにしてていい、って……

こんな風に強引に軟禁しておいて、好きも何もない。



私がいくら睨みつけて抗議しても、琥珀は私の声なんて最初から聞こえていないかのように、さっさと立ち上がって自分の衣服の乱れを整え始めた。



「ちょっと、琥珀、ふざけないで──」

「じゃ、また後でね」



ひらひらといつもの軽い調子で手を振って、琥珀は私を残して部屋を出ていってしまった。



がちゃり。

外側から、施錠の音が響く。



続いて規則正しい足音が、廊下の奥へと遠ざかっていくのが分かった。


部屋に残されたのは、完全な静寂。



「えぇ…………」



パチパチと蛍光灯の微かな唸りだけが残った冷たい部屋で、私はぽつんと一人、呆然と立ち尽くしていた。

念のためにポケットの中のスマホを取り出して確認してみる。


画面の右上には琥珀の言った通り、『圏外』の二文字が白く光っていた。