総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




とは言え落ち込んでいる暇はない。



……今だ……っ!


琥珀がドアの前から動いたその一瞬、考えるよりも先に体が反射的に動いていた。


隙を突き、琥珀の横を猛スピードですり抜けてドアへと駆け寄った。

必死の思いで金属のノブを掴み、力任せに回す。



……けれど、ガチャガチャと虚しい音が響くだけで、扉はびくともしない。



「……っ、開かない……!」

「おっと──」



背後から伸びてきた力強い腕に、一気に手首を掴まれ、強引に後ろへと引き戻された。



「っ……!?」



急激な引っ張りにバランスを崩してよろめいたところを、そのまま背後から包み込まれるようにがっしりと抱き留められて。

背中に、琥珀の体温がダイレクトに伝わってくる。



「……暴れると怪我するよ?」



耳のすぐ後ろ、至近距離で囁かれる低い声。

背中にぴったりと密着した体から伝わってくる心臓の鼓動は、私のバクバクとした早鐘とは対照的に、驚くほど静かで一定だった。