総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ





「っ、ハンターのこと、信頼してもいいって思って、ここに来たのに……!」



悔しさと裏切られたショックで、涙が出そうになりながら叫んだ。


その一言が、鋭い刃となって琥珀の表情を完璧に凍りつかせる。

ほんの刹那の間、琥珀は痛いところを突かれたようにきつく唇を噛み締め、私から気まずそうに目を逸らした。



「……、」



数秒の、息が詰まるような静寂。

それから、琥珀は自嘲気味にふっと長い睫毛を伏せた。



「……ずるいなぁ、胡桃は」



小さく、掠れた声で笑う。

けれどその笑みには、いつもの軽薄さなんて欠片も残っていない。



「……俺一人の判断でどうこうできる問題じゃないしさ。別に君に危害を加える訳じゃないんだし、むしろ守ろうとしてるだけなんだよ?胡桃にとってもメリットなのに」



……そ、そういう問題じゃない……!!


琥珀はゆっくりと私の方へ歩いてくる。



──『信頼してもいいって思って来た』

自分で口にしておいて、その言葉の重みが遅れて私の胸に深く突き刺さった。



私は確かにそう思ってここに来たのだ。

幹部会議の場で、琥珀に「情報が共有できるから」と促されたとき、一ミリも疑わなかった。



ハンターを──というよりは、琥珀を信じていたから。