「……そっか。うん、そうだよね。胡桃がそう言うのは最初から分かってた」
ぽつりと自分に言い聞かせるように呟いて、琥珀は一歩後ろに下がる。
そのまま背後のデスクチェアに崩れるようにして座り込んだ。
しばらくの沈黙の後、琥珀は何かを決意したように私を見つめる。
「……でもさ……悪いけど、このまま君を帰すわけにはいかないんだよね。おれにも立場ってものがある」
「え……?」
頭の中が真っ白になる。
「…出来れば合意の上が良かったんだけど」
琥珀は静かに椅子から立ち上がると、出口の方へと移動した。
そして頑丈な鍵のかかった鉄製のドアの前に背中を預けるようにして立ち、私の唯一の逃げ道を完全に塞がれる。
「……待って……琥珀、何考えて──」
一瞬にして血の気が引いていくのが分かった。
琥珀の一連の無駄のない行動は明らかに──私が拒絶する展開を想定し、準備していたもの。
返すわけにはいかない……つまり、私が自分の意思でハンターに保護されることを選ばないなら──


