総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ





琥珀の目の奥には、さっき一瞬だけ覗いたあのドス黒い暗い色がまだ消えずに燻っている。



……あれは、ただの仕事の話をする人間の目じゃない。

もっと、個人的な──。




琥珀は、どうしてそんなに吸血鬼を憎むの?


……何を言いかけたんだろう?



私には、分からなかった。

琥珀が過去に何を経験し、何に怯え、どんな重荷を背負っているのか。


ただ、目の前のこの人が今、ひどく心が傷ついていることだけは伝わってきた。



……とは言え、ここで「はい」と頷いてハンターに囲い込まれるわけにはいかないのも事実。


叶兎くんが動画のせいで表立って動けない今だからこそ、私が叶兎くんの分まで外で動いて頑張らなきゃいけないんだから。



部屋の中に重苦しい沈黙が落ちた。

壁掛け時計の秒針だけが、かち、かち、かち、と時を刻む音だけがやけに大きく聞こえる。



やがて、琥珀がゆっくりと目を開けた。

さっきまでの激情を胸の奥底へ無理やり飲み込んだような、冷たく平坦な顔で。



だけど、その瞳孔はわずかに小刻みに揺れている。