「その彼に、実際襲われたでしょ?あの動画の時……君、普通の人ならショック死するくらいの凄い量の血を吸われてたんだよ?」
前髪を掴む琥珀の指先が、微かに震えていた。
その瞳の奥から、怒りとも悲しみともつかない、抑えきれないドロドロとした何かが激しく滲み出てくる。
「吸血鬼なんて所詮、化物なんだよ。結局のところ、血を目の前にすれば本能には抗えない。綺麗に飾ったって中身は獣だ」
吐き捨てるように言った琥珀の顔を見て、私は息を呑んだ。
琥珀が、激しい憎悪と険しさを剥き出しにしているようで。
「……琥珀……」
何が琥珀をここまで頑なにさせ、駆り立てているのかは分からない。
だけど、その瞳の奥でゆらゆらと揺らめいている暗い復讐心のような炎は間違いなく本物だった。
「でも、叶兎くんはちゃんと自分の力で理性を保って、私のところに戻ってきてくれた。それに、あれはあの卯月って男のせいで、叶兎くんのせいじゃ──」
ガァン!!!
「──……っなんで、わかんないかな……!」
私の言葉を強引に遮るように、琥珀の拳が激しく机を叩いた。
凄まじい衝撃音が、コンクリートの狭い小部屋の中に反響する。


