総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ





「まあ、そこに座りなよ。……大事な話だからさ」



……なんとなく、私の胸の奥に……嫌な予感が走った。



「……前にも聞いたけどさ。前とは随分状況が変わった。だからもう1回聞く。──ハンターの保護下に来ない?」



前に聞かれた時と、同じ問いかけ。

でも、以前言われた時とは言葉の重みも切迫感もまるで違っていた。



何故なら、すべての黒幕である卯月要の身柄はまだ捕まっていない。

吸血鬼を強制的に暴走させる『合成血』の恐ろしい技術も未だどこかに残されたままだ。



そして何より……叶兎くんですら、あの男に嵌められて理性を失ったという最悪の事実がある。


──『赤羽叶兎の傍にいても守れない』という、決定的な前例ができてしまったこと。



「俺、上からも直々に言われてるんだよね。胡桃をハンター側で保護しろって」



琥珀は何かを誤魔化すこともなく、ストレートにそう言い切った。



「理由は言わなくても分かるでしょ。その『無効化』の力が万が一にでも敵の手に渡ったら、こっちの切り札が無くなる」



痛いところを、容赦なく真っ直ぐに突かれる。

琥珀の言うことは一理あるし、ハンターとしての正論だ。


だけど私の答えは、最初から決まっている。