「まあ、そこに座りなよ。……大事な話だからさ」
……なんとなく、私の胸の奥に……嫌な予感が走った。
「……前にも聞いたけどさ。前とは随分状況が変わった。だからもう1回聞く。──ハンターの保護下に来ない?」
前に聞かれた時と、同じ問いかけ。
でも、以前言われた時とは言葉の重みも切迫感もまるで違っていた。
何故なら、すべての黒幕である卯月要の身柄はまだ捕まっていない。
吸血鬼を強制的に暴走させる『合成血』の恐ろしい技術も未だどこかに残されたままだ。
そして何より……叶兎くんですら、あの男に嵌められて理性を失ったという最悪の事実がある。
──『赤羽叶兎の傍にいても守れない』という、決定的な前例ができてしまったこと。
「俺、上からも直々に言われてるんだよね。胡桃をハンター側で保護しろって」
琥珀は何かを誤魔化すこともなく、ストレートにそう言い切った。
「理由は言わなくても分かるでしょ。その『無効化』の力が万が一にでも敵の手に渡ったら、こっちの切り札が無くなる」
痛いところを、容赦なく真っ直ぐに突かれる。
琥珀の言うことは一理あるし、ハンターとしての正論だ。
だけど私の答えは、最初から決まっている。


