「……ちょっとさ、話したいことがあるんだけど。……ここじゃなんだから、場所変えない?俺がいつも使ってる部屋あるから」
「話したいこと……?」
私の問いかけに琥珀は何も答えず、ただ静かに立ち上がった。
……話したいことってなんだろう……?
案内されたのは、本部の奥まった場所にあるひっそりとした小部屋。
「入って」と言われて中を見渡すと、そこは個人の作業室のようだった。
スチール製のデスクの上には、何かの書類や通信端末、電子部品のようなものが雑然と積み上げられていて、壁には付箋が大量に貼られたホワイトボードが立てかけてある。
私が部屋に足を踏み入れると、後ろでパタンとドアが閉まる。
──カチャリ。
内側から鍵が掛けられる音が、静かな室内に思った以上に大きく、重く響き渡った。
思わず身体を硬くして振り返ると、琥珀はいつも通りの飄々とした笑みを浮かべたまま、鍵から手を離したところだった。
完全に密室となった狭い小部屋。
そこで、二人きり。
琥珀はデスクの前に置かれたキャスター付きの椅子を引いて腰を下ろすと、自分の対面にある丸椅子をトントンと叩き、私に座るよう促した。


