それなら……話が早い……!
胸の奥の支えが、音を立てて消えていくのが分かった。
お互いに持っているピースが違っていただけで、私たちは最初から同じ山を登っていたのだ。
「……卯月要。この男がすべての黒幕か」
橘さんが、いつになく低い声でその名前を呟いた。
「月宮病院の医師として潜伏していたなら、うちの管轄内だ。……でも、その時点で身元を押さえられず、逃がしたのは痛いな」
部屋に、再び重い空気が落ちる。
けれど、それは絶望によるものではなかった。
次にあの男をどうやって追い詰めるか、その具体的な一手を進めるための、前向きな沈黙だった。
「よし。情報共有と協力体制の件、正式に進めよう」
がっしりした体格の幹部が椅子から立ち上がり、私に向かって大きな手を差し出してきた。
「……朝宮さん、改めてよろしく頼む」
差し出されたその手を、両手でしっかりと握り返した。
「はい。よろしくお願いします……!」
ギュッと握手を交わした瞬間、肩に乗っかっていた目に見えない重荷が少しだけ軽くなったような気がした。


