下手に誤解を招くようなことは言えないけど、これ以上叶兎くんを悪者にさせないためには筋道を立てて説明しなきゃいけない。
私は深く息を吸い込み、幹部たちを真っ直ぐに見据えた。
「……今から話す内容は、ここにいる人たちのみで内密にしていただけますか」
私のその言葉に、室内が静まり返った。
幹部たちはそれぞれ値踏みするような、あるいは面白がるような、三者三様の表情で私を凝視している。
隣にいた琥珀が、確認するように視線で周囲をゆっくりと見回した。
張り詰めた沈黙が数秒続いた後、中央のがっしりした幹部の男が小さく首を縦に振る。
「……構わない。話してくれ」
その許可を得て、私はポツリ、ポツリと、あの地下研究所で起きた出来事を話し始めた。
叶兎くんが罠に嵌められて捕まっていたこと。
そこで無理やり、吸血鬼の血を混ぜ合わせて作られた謎の薬──『合成血』を投与されたこと。
あの暴走は、その薬によって引き起こされた人為的なものであること。
そしてその研究所を裏で操っていたのが、『卯月要』という男あること。
私の話を、幹部たちは誰一人として遮ることなく、真剣な面持ちで聞き入っていた。
「──……なるほどな」
一通り説明し終えた後、部屋を支配したのは長い、長い沈黙だった。
その沈黙を破ったのは、先ほどの中央の幹部。
男は深く納得したように、一度大きく頷いた。


