心臓がドクンと大きく跳ね上がる。
ここに来る前から、絶対にこの質問はされると予想はしていた。
覚悟だってしてきたはずだったけど、いざ目の前の強者たちに真っ直ぐ問い詰められると上手く声が出せなくなる。
そして幹部の男が、手元にあったタブレットをすっとテーブルの中央に滑らせてきた。
液晶画面に映し出されているのは、今もネットの海のあちこちで拡散され続けている、あの忌まわしい動画のワンシーン。
「襲われているこの女性は、朝宮さんだろう?」
画面の中で、暴走した叶兎くんに組み伏せられている自分の姿が嫌でも目に入る。
私は奥歯を噛み締め、震えそうになる声を必死に堪えて顔を上げた。
「私です。……でもこの動画は、悪意のある編集をされてます」
本当のことを言わなきゃ。
叶兎くんがあの男の地下研究所で捕まっていたことや、実験台にされていたことは、吸血鬼側でも内密にしている。
それをむやみに公にするわけにはいかない。
でも……それを言わないことには、あの時どうして叶兎くんがあんな状態になっていたのか、本当の事情を説明することができない。
……大丈夫、この状況を予想して、叶兎くんと決めてきたんだ、私がちゃんとしなきゃ。


