総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




するとテーブルの中央に座っていたがっしりとした体格の壮年の男性──いかにも修羅場をくぐり抜けてきたという風貌の幹部の男が、怪訝そうに私と橘さんを交互に見やった。



「橘、知り合いなのか」

「前の合同訓練で一緒に訓練したことあって」



橘さんが肩をすくめて答えると、その男は今度は品定めをするような鋭い視線を私へと移した。



「……楪。この人間の嬢ちゃんが、例の『無効化』持ちか?」

「そ。俺も実際にこの目で見てるし、信頼性は俺が保証するよ」



琥珀がポケットに手を突っ込んだまま、迷いのない声でそう告げる。

幹部の男の眼光の鋭さに、背中に冷や汗が流れる。



「こちらとしても、朝宮さんの力は欲しい。基本的には情報共有がメイン。けど、対処に手こずるような相手の時は君の力を借りたい」



私を一人の『戦力』として見なしている、利用価値があるからこそ、この場に呼ばれたのだ。

私は拳を握りしめ、喉の渇きを堪えながら答えた。



「……はい」

「……ただ、ひとつ聞いておきたい」



男がそこで言葉を区切った瞬間、室内の空気がガラリと変わった。



「あの炎上してる動画、あれはどういうことなんだ」