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午後8時。
夜の帳がすっかり下りた頃、私は約束通りヴァンパイアハンターの本部入口に立っていた。
昼間の喧騒が嘘のように静まり返った大きな建物の前で私を待っていた琥珀の姿を見つける。
じっと本部の方を見つめている琥珀の横顔は、いつもみたいな明るさは一切なく、どこか遠くを見るような険しい表情。
でも、私が近づく足音に気づいた瞬間、琥珀は弾かれたようにいつもの軽い調子で振り返った。
「お、来た来た」
私に向けられたのは、いつもと変わらない能天気な笑顔。
だけど、その表情の切り替えの速さが逆に不自然で仕方がない。
…さっきまでの横顔に張り詰めていたあの刺すような緊張感を、意図的に隠しているようにも見えたのは、気のせいだろうか。
「入る前にひとつだけ。中にいる連中、俺みたいにフレンドリーじゃないから。……何か言われることも覚悟しといてね」
「……うん。分かってる」
私が小さく頷くと、琥珀はそれ以上何も言わず、建物のセンサーにカードキーをかざした。
ウィーンと静かな音を立てて、分厚い自動ドアが開く。
一歩足を踏み入れた瞬間、ひんやりとした空気に包まれた。
廊下ですれ違うハンターたちがちらちらと私へと視線を向けてくる。
値踏みするような鋭い目や刺さるような好奇の視線。
向けられる視線は冷たくて、もし今、琥珀がすぐ隣を歩いてくれていなかったらとうに足がすくんで動けなくなっていたかもしれない。


