……確かに、情報は欲しい。
さっき朔の尋問で判明した『卯月要』という男の正体。
そして、あいつが製造している「血合成」の薬の正体や、吸血鬼が暴走する詳しい仕組み。
病院から忽然と姿を消したあの男の足取りを正確に追うためには、ハンター側が独自に握っている捜査網や機密情報があれば……。
「でしょ?それに、会議の場で正式に協力関係を結んじゃえば、俺が個人で動くんじゃなくてハンター全体として今回の動画の件も動かせるようになるし。何より、胡桃の口からさっきみたいにハンターの上層部に直接説明をすれば、赤羽くんへの根も葉もないヘイトも、少しはおさまるかもしれないよ?」
琥珀の提示した条件は、今の私たちにとってこれ以上ないほど魅力的なものだった。
……でも。
ヴァンパイアハンターの本部は、吸血鬼である叶兎くんは、どうしても一緒に行くことができない。
つまり私は今夜、たった一人で乗り込まなければならないのだ。
……でも、ここで怖気づいている場合じゃない。
叶兎くんの汚名を晴らし、あの狂った卯月要が次に何を企んでいるのかを突き止めるためには、少しでも出来ることをしたい。
私は覚悟を決め、拳をぎゅっと握り直した。
「……分かった、行く」
「うん、そうこなくっちゃ!」
琥珀は私の返事に満足したように、にっと白い歯を見せて快活に笑った。
けれど、隣にいる叶兎くんの気配が一瞬凍りつくような冷たさを帯びたのを私は見逃さなかった。
「……ハンター本部にか。当然俺がついていくわけにはいかないし、正直胡桃を一人で行かせるのはまっったく気が進まないけど………」


