「…あの動画の件、実はハンター内でもかなり広まっちゃってて。俺の方でもデータの解析とか、編集の痕跡を調べて元データを辿ろうとはしてるんだけど、何しろ素材が出回りすぎててどこが発信源なのか特定するのが難しいんだよね」
……!
琥珀、表立っては動けなくても裏では協力してくれてるんだ……。
「……楪」
それまで沈黙を保っていた叶兎くんが、静かな声で琥珀を呼んだ。
琥珀が「ん?」と振り返る。
「……この前の地下研究所の件、お前も俺の救出に協力してくれたって聞いた。……ありがとう」
……!
思わず目を見開いてしまった。
今まで琥珀に対しては、警戒と不信感の入り混じった鋭い視線ばかりを向けていたあの叶兎くんが、誠心誠意のお礼を口にしていたから。
それは琥珀にとっても完全に予想外だったらしく、一瞬、目に見えて動揺していた。
まさか叶兎くんから、そんな感謝の言葉をぶつけられるとは思っていなかったのだろう。
琥珀はすぐにいつもの飄々とした笑みを浮かべ直したけど、その口元はどこかぎこちなく強張っていた。
「……何、急に真面目な顔して、気持ち悪いんだけど。……別に君のためにやったわけじゃないし。俺にもそれなりのメリットがあったから協力しただけだよ」
琥珀は照れ隠しをするように頭の後ろをガシガシと掻くと、気まずそうに視線をふいと逸らしてしまった。


