総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




「……分かったよ。君がそこまで必死に言うなら、今日のところはこれ以上突っ込まないでおく」



男はそれだけ言うと、乱暴に踵を返した。

それを合図に、周囲を取り囲んでいた他のハンターたちも、不満げな表情を浮かべながらも渋々とその場から散っていった。



「はぁ……」



みんなの気配が遠ざかり、張り詰めていた緊張が一気に抜けてその場にへたり込みそうになる。

すると、私たちの様子を少し離れた場所から静観していた琥珀が、足音も立てずにこちらへと近づいてきた。



「相変わらずだねー。あの空気の中であそこまで自分の意見を言い切れる子なんて、なかなかいないよ」



琥珀はズボンのポケットに両手を突っ込んだまま、呆れたような、でもどこか感心したような視線で私を見下ろしている。



「……叶兎くんのこと、目の前で悪く言われるのがどうしても嫌で……つい、頭に血が上っちゃった…」

「ま、俺もさ、あの悪意のある編集をされた動画が拡散されてる件についてはどうにかしたいなーって思ってるんだけど……ハンターっていう組織に属してる立場上、みんなの前で大っぴらに君たちのことを全面擁護するわけにもいかないしさ」

「……うん、分かってる。立場があるもんね、ありがとう」



私が頷くと、琥珀は少し周囲を警戒するように間を置いてからふっと声を一段と落とした。