……!
よりによって、今、このタイミングで。
その場にいる全員の顔に「なんで楪琥珀がここに」という困惑と警戒が広がる。
「……通して。」
「かしこまりました」
時雨くんが渋々許可を出すと、数分後に応接室のドアが再び開き、いつも通りの飄々とした笑顔を貼り付けた琥珀が入ってきた。
「やっほー。忙しいとこごめんね?ちょっと気になる情報があって」
琥珀は笑いながらも、その鋭い視線でテーブルの上に広げられた地図や資料を、一瞬、舐めるように観察した。
「…情報?ハンター側がわざわざこっちに来るってことは、相当な話なんだろうな」
蓮水さんがソファに深く腰を下ろし、威圧するように足を組んだ。
「……三日前に、ハンター本部のデータベースに不正アクセスがあってね。吸血鬼の能力暴走事件と、過去数年の捜査資料がごっそり抜かれてて」
琥珀は懐から一枚のプリントアウトされた紙を抜き出し、テーブルに放った。
「そのIPの発信元を辿ったら、面白い場所に行き着いた。月宮市北部の廃工場地帯。で、さっきその辺を巡回してたら、見覚えのある黒い車がUターンしてくのが見えて」
琥珀の目が、ゆっくりと私たちを射抜く。
「──君たちも、あの場所を追ってるんでしょ?」


