「舐めんなよ」
男は呆然とそれを見ていたが、やがて顔を覆って腹の底から湧き上がるような、心底楽しそうな笑い声を上げた。
「あははは!すごい、すごいよ赤羽くん!やっぱり、君が欲しかったんだ。その生命力、その爆発的な衝動……!君こそが、相応しい」
男はポケットから、不気味に発光する液体が満たされた注射器を取り出した。
その動作に迷いはない。
狂喜に染まった瞳が、獲物を狙う。
「だからごめんね。ちょっと大人しくしてて」
月光を反射して、鋭い針先がギラリと光った。
叶兎が残った左手の拘束を引きちぎろうと力を込めるより、獲物を仕留める男の動きの方が一瞬早かった。
「……っ」
首筋に、冷たい針の感触。
そのまま、どろりとした異質な液体が血管を伝って全身に流し込まれる。
次の瞬間、叶兎の身体からスイッチを切ったように力が抜けた。


