総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




ただ守られているだけの存在でいたくない。

叶兎くんを助ける力になりたい。


時雨くんは、私のまっすぐな視線を受け止め、力強く頷いた。



「胡桃には胡桃にしかできないことがある。…あの地下室で、天音も叶兎も動けなくなったあのガス。あれ、胡桃には効かなかったんでしょ?」



ハッとして、思い出す。

確かに、二人とも意識が朦朧としていたのに、私だけは意識がはっきりしていた。



「……うん。吸い込んじゃったはずなのに、眠くならなかった」

「つまりあの中で動けるのは胡桃だけ。敵の拠点にも、吸血鬼を対象にした同じような罠がある可能性は高い。胡桃はきっと、救出の要になる」



その言葉に、小さく頷いて。



「うん、…わかった。わたしも…やれるだけのことは、やってみる」

「……頼りにしてるよ。一度屋敷に戻って作戦を立て直そう」



車が市街地の明かりの中へと戻ってきた。


……待ってて、叶兎くん。絶対助けに行くから。

夜空に浮かぶ月を見上げて、私は心の中で静かに誓った。