ただ守られているだけの存在でいたくない。
叶兎くんを助ける力になりたい。
時雨くんは、私のまっすぐな視線を受け止め、力強く頷いた。
「胡桃には胡桃にしかできないことがある。…あの地下室で、天音も叶兎も動けなくなったあのガス。あれ、胡桃には効かなかったんでしょ?」
ハッとして、思い出す。
確かに、二人とも意識が朦朧としていたのに、私だけは意識がはっきりしていた。
「……うん。吸い込んじゃったはずなのに、眠くならなかった」
「つまりあの中で動けるのは胡桃だけ。敵の拠点にも、吸血鬼を対象にした同じような罠がある可能性は高い。胡桃はきっと、救出の要になる」
その言葉に、小さく頷いて。
「うん、…わかった。わたしも…やれるだけのことは、やってみる」
「……頼りにしてるよ。一度屋敷に戻って作戦を立て直そう」
車が市街地の明かりの中へと戻ってきた。
……待ってて、叶兎くん。絶対助けに行くから。
夜空に浮かぶ月を見上げて、私は心の中で静かに誓った。


