「……これ、GPSだ」
「GPS…?」
私が聞き返すと、時雨くんは奥歯を噛み締め、低く唸るような声を漏らした。
「…あの、バカ」
時雨くんの声が震えた。
「……自分が捕まって拠点を割らせようってこと。…あいつらしいっちゃらしいけど」
時雨くんの言葉を聞いて、私の心臓がドクンと大きく跳ねた。
……そんな、無茶な。
もし、男がその場で叶兎くんを殺すつもりだったら……?
怖くなって指先が冷たくなる。
でも、画面の中の光る点は、今もゆっくりと移動を続けている。
場所は南東方向──人里離れた、山間部の廃墟群のあたり。
「……追うのか」
蓮水さんが冷静に、時雨くんを見た。
「当たり前。永季、秋斗、車回して。天音、意識ある?」
時雨くんの呼びかけに、壁際で倒れていた天音くんが、のろのろと体を起こした。
「………なんとか。頭ぐらぐらするけど」
フラフラとよろめく天音くんを、私と時雨くんで両側から支え、肩を貸す。
蓮水さんと九条くんは弾かれたように部屋を飛び出し、正面玄関へ車を取りに向かった。


