「朝宮さん、また会おうね。…近いうちに。」
鉄扉が閉まった。
足音だけが遠ざかっていく。
………っ、…。
足元で天音くんがうめき声を上げた。
天音くんは叶兎くんよりもガスを吸った量は少ないはずだけど、それでもガスの効果が強い。
……今、私がやるべきことは、ここで泣くことじゃない。
視界がにじんであふれそうになる涙を、私は服の袖で力いっぱい拭った。
震える指先で、外で待機しているはずの時雨くんに電話をかけようとした、その時。
「遅かったか…っ!!」
扉を蹴破るような勢いで、時雨くん、蓮水さん、九条くんの三人が部屋になだれ込んできた。
血相を変えて飛び込んできた彼らは、一瞬で室内の惨状を把握し、息を呑む。
「みんな、無事!?」
「私は大丈夫……でも…っ」
「…叶兎は…?」
「…白衣の男に、連れ去られた…これを、時雨くんに渡してって」
私は叶兎くんに渡されたスマホを差し出した。
時雨くんがそれを奪い取るように受け取り、表示された画面を見つめる。
その瞬間、顔立ちが険しくなり、瞳に鋭い光が宿った。


