総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




「朝宮さん、また会おうね。…近いうちに。」



鉄扉が閉まった。

足音だけが遠ざかっていく。


………っ、…。


足元で天音くんがうめき声を上げた。

天音くんは叶兎くんよりもガスを吸った量は少ないはずだけど、それでもガスの効果が強い。



……今、私がやるべきことは、ここで泣くことじゃない。



視界がにじんであふれそうになる涙を、私は服の袖で力いっぱい拭った。


震える指先で、外で待機しているはずの時雨くんに電話をかけようとした、その時。



「遅かったか…っ!!」



扉を蹴破るような勢いで、時雨くん、蓮水さん、九条くんの三人が部屋になだれ込んできた。

血相を変えて飛び込んできた彼らは、一瞬で室内の惨状を把握し、息を呑む。



「みんな、無事!?」

「私は大丈夫……でも…っ」

「…叶兎は…?」

「…白衣の男に、連れ去られた…これを、時雨くんに渡してって」



私は叶兎くんに渡されたスマホを差し出した。


時雨くんがそれを奪い取るように受け取り、表示された画面を見つめる。

その瞬間、顔立ちが険しくなり、瞳に鋭い光が宿った。