総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




「わかってる。だから危ないって言って──」

「わかってないから、あの子は怒ってるんでしょ」



……核心を突かれ、言葉に詰まる。


楪はへらっと笑ったが、その瞳の奥はひどく冷静に俺を観察していた。


怒りが、じわじわと拳に溜まっていく。



「……っお前なんかに、何が分かるんだよ…!」

「やめろ、ここでやり合うのは。」



殴りかかりそうになった俺たちの間に、橘が割って入った。



「吸血鬼の次期トップとハンターが、ここで派手な喧嘩なんて洒落にならないだろ」



……橘の言うことはもっともだ。


射撃スペースに、重苦しい沈黙が落ちる。

俺は手の中の銃を見つめたまま、金縛りにあったように動けなかった。




「赤羽様、次は鷹宮家の当主がご挨拶に」




神代さんの声にハッとして、現実に引き戻された。


今は、懇親会の最中。


……ダメだ、こんな状態で、仕事なんて手に付くわけがない。


今の俺にとって、次期トップとしての挨拶回りなんて、どうだっていい。

そんなことよりも、今すぐ胡桃を見つけて、胡桃の顔が見たい。



「……悪い。少し外す。」

「 ……承知しました。後のことは、私がうまく取り繕っておきます」



ホールを早歩きで横切る。

すれ違うハンターや吸血鬼たちが、愛想笑いを浮かべて挨拶をしてくるけど、それらすべてを無視して突き進んだ。