総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




叶兎くんは深い溜息を吐き、呆れたように言った。



「……胡桃さ、前に吸血鬼に襲われたこと。俺に報告してないよね。」

「………っ!」



心臓が跳ねた。


っ、やっぱり、知ってたんだ…。

黙ってたこと…怒ってる、よね。



「今回のことだって、俺に言わないつもりだったろ。心配かけたくないのかもしれないけどさ、黙って勝手な事される方が心配」



…図星だった。

何も言い返せない。



「……とにかく、銃は置いて。こんな危ないもの──」



目の前に、有無を言わさない強引さで手が差し出される。


私は、叶兎くんの強引なところも嫌いじゃない。

だけど今は──。



「……」

「胡桃。」



俯いたまま、視界がじわりと滲む。

……こんなところで泣きたくないのに。



「…………叶兎くんにはわかんないよ、人間の私の気持ちなんかっ…!」



差し出された叶兎くんの手を拒絶するように、私は持っていた銃を彼の胸元に押し付ける。

驚きに目を見開く叶兎くんの顔を直視できなくて、私は涙を隠すように身を翻した。