総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




振り返ると、入口に叶兎くんが立っていた。

腕を組んだまま射撃スペースに入ってくる叶兎くんの視線は、私ではなく、私の隣にいる橘さんを鋭く射抜いている。



「何してんの」



ハンターに向ける、冷え切った声。

橘さんは動じずに平然と答える。



「見ればわかるだろ。銃の基本操作を教えてるだけだけど。」



叶兎くんはさらに一歩、圧をかけるように近づいた。



「…勝手に胡桃に変なもの吹き込まないでくれない?そんなもの、必要ない」



……!

必要ないっ、て。


叶兎くんは私から銃を取り上げようと、強引に手を伸ばしてくる。



「胡桃、行こ──」

「……っ、叶兎くん」



思わず止めようと名前を呼んだけど、その先が続かない。

数秒の重苦しい沈黙の後、叶兎くんが私を真っ直ぐに見据えた。



「……あのさ。ハンターは信用できないって前に言ったよね。なんで銃なんか持ってるの。しかもこいつらと仲良く」



「こいつら」——琥珀と橘さんを顎で示す叶兎くんは苛立ちが隠しきれていない。


…確かに、ハンターは信用できないのかもしれないけど…。

それに、橘さんはただ私の身を案じて提案してくれただけだ。