「止めたって言っても……私必死だっただけで、大したことしてないし…」
「何もしてないのにあの人を止められるなら、それこそ最強でしょ」
琥珀はペットボトルの蓋をパキッと開けながら、さらりと言った。
そ、それは……。
私が言い返せずにいると、休憩スペースの自販機の前で、足音もなく一つの人影が姿を現した。
缶コーヒーを手にしたその人は、真っ直ぐに私を見据える。
「朝宮胡桃さん。」
「……橘さん、」
表情は訓練中の冷たさとは違い、妙に落ち着いていた。
そして橘さんはコーヒーを一口啜ると、とんでもないことを口にした。
「銃、使ってみない?」
「……………え?」
あまりに唐突な提案に、私の思考は完全にフリーズした。
じゅう?銃を、私が……?
「実弾が嫌なら麻酔弾でもいい。さっきの訓練見てて思ったんだけど……君、無効化の能力は最強格に強いけど、物理的には無防備すぎる。」
突きつけられた言葉は、図星だった。
「無効化」は確かに強力だ。
でも、それを発動できる射程に相手が入らなければ、あるいは不意打ちを受ければ、私はただの非力な女の子。
反射神経も腕力も、特別な訓練を受けていない私では彼らの足元にも及ばない。


