総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ






「止めたって言っても……私必死だっただけで、大したことしてないし…」

「何もしてないのにあの人を止められるなら、それこそ最強でしょ」



琥珀はペットボトルの蓋をパキッと開けながら、さらりと言った。


そ、それは……。


私が言い返せずにいると、休憩スペースの自販機の前で、足音もなく一つの人影が姿を現した。

缶コーヒーを手にしたその人は、真っ直ぐに私を見据える。



「朝宮胡桃さん。」

「……橘さん、」



表情は訓練中の冷たさとは違い、妙に落ち着いていた。

そして橘さんはコーヒーを一口啜ると、とんでもないことを口にした。



「銃、使ってみない?」

「……………え?」



あまりに唐突な提案に、私の思考は完全にフリーズした。

じゅう?銃を、私が……?



「実弾が嫌なら麻酔弾でもいい。さっきの訓練見てて思ったんだけど……君、無効化の能力は最強格に強いけど、物理的には無防備すぎる。」




突きつけられた言葉は、図星だった。

「無効化」は確かに強力だ。

でも、それを発動できる射程に相手が入らなければ、あるいは不意打ちを受ければ、私はただの非力な女の子。

反射神経も腕力も、特別な訓練を受けていない私では彼らの足元にも及ばない。