そして麗音がこちらに向かって動こうとした瞬間、娘である私が撃たれそうになったことで意識がほんの一瞬だけ逸れたのか、琥珀はその致命的な隙を絶対に見逃さなかった。
パァン!と、乾いた音が一度だけ響く。
「ハンター、舐めすぎ。」
琥珀の放った弾丸が、麗音の肩を掠め、鮮やかな色が服に付着する。
数秒の、完全な静寂。
「………」
麗音は自分の肩についた色を見下ろした。
今だっ…!
私は全速力で駆け出した。
叶兎くんが守ってくれた道。みんなが繋いでくれたチャンス。
私は台座に手を伸ばし、そこにある赤い宝石を壊れないようにしっかりと掴み取った。
その瞬間──訓練終了を告げるブザーが、会場全体に高らかに鳴り響く。
「……と、取った……」
勝った。……私たちの、勝ち。
……でも、心の中に広がるのは、純粋な喜びだけではなかった。
…最後の一歩を踏み出せたのは、叶兎くんが私を庇ってくれたから。
叶兎くんは背中に色をつけたまま、振り返って私に微笑みかけた。
「胡桃、ナイス」
いつの間にか、麗音が私の傍らに立っていた。
叶兎くんに視線を向け、どこか満足そうに。
「……及第点だな」
それだけ言うと、今度は私の頭にぽん、と大きな手を置いた。
「無茶はするなよ」
小さく、私にだけ聞こえるような優しい声。
その言葉に、手の中の宝石をぎゅっと抱きしめた。


