私は無効化の力を思い浮かべながら、思い切って吹き荒れる吹雪の中へと片手を伸ばした。
吹雪は物理的な現象だから、どこまで無効化が効くかは未知数だったけど──。
伸ばした指先に触れた瞬間、激しい風がふっと凪いだ。
私を中心に半径一メートルほど、雪も風も届かない、奇妙なほど静かな「空白地帯」が生まれていた。
「……は?なにそれ。」
「え、嘘でしょ、すご……」
琥珀と天音くんが目を丸くしてこちらを見る。
「入れると思う。……私だけ、だけど。」
その言葉が終わる前に、吹雪の中から、一際大きな氷塊が射出された。槍のように鋭く尖った氷の槍。
それが真っ直ぐ、叶兎くんの背中を目掛けて飛んでいくのが見えた。
強化された身体能力を持つ叶兎くんでも、この乱気流の中では避けきれない角度。
「叶兎くんっ!!」
考えるより先に、体が動いていた。
無意識に吹雪の中に飛び込んで、氷と叶兎くんの間に割り込む。
そして、思い切り右手を伸ばした。
キィィィィン──!
耳鳴りのような音がして、氷の槍は私の鼻先数センチのところで止まった。
空中で時間が止まったように、ぴたりと静止している。


