けど、すぐに元トップとしての冷たい眼差しに戻る。
麗音が手を軽く動かすと、たったそれだけで部屋全体に猛烈な吹雪が吹き荒れ始めた。
視界は一瞬で白に塗り潰され、吐く息さえ凍りつく。
床からは氷の結晶がトゲのように這い上がり、天井からは鋭い氷柱がシャンデリアのように垂れ下がった。
「っ…!!」
扉の外にいる私たちですら、皮膚が裂けそうな寒さに襲われる。
そしてその吹雪の中、麗音と叶兎くんが同時に動いた。
氷を殴り砕き、冷気を裂いて、二つの影が激しく交錯する。
速すぎて目で追うのが精一杯だ。次元が違う戦いが、目の前で繰り広げられている。
扉の前で戦況を見守っていた神代さんは、即座に冷静な判断を下して叶兎くんの援護へと割って入った。
真っ白な吹雪の壁の向こうで何が起きているのか、もう正確には分からない。
微かに見える人影と、氷が砕ける激しい金属音、荒い息遣い。
それらすべてが、私にはとても遠い世界のことのように感じられた。
隣に立って同じように吹雪を睨んでいた天音くんが、ぽつりとこぼす。
「 ……ねえ。俺ら、入れなくない?これ。」
琥珀は銃に息を吹きかけて温めながら、苦々しく吐き捨てる。
「冷気の範囲が広すぎて近づけない。……あの中に突っ込んだら普通に凍死する。あの2人バケモノすぎでしょ」
…私にも、何かできることは…
震える肩を抱きながら必死で頭を回転させる。
その時、ふと思いついたことがあった。
「…!待って、もしかしたら…」


