「……え、マジ?」
「…は、聞いてないんだけど。」
天音くんと琥珀が、信じられないものを見たように呆然と声を漏らした。
そこに立っていたのは、吸血鬼やハンターなら知らない者はいない存在。
吸血鬼の元トップ──私の父、朝宮麗音。
彼の足元から、這いずるような冷気がみるみるうちに床を白く染め上げながら広がっていく。
「…え、…お父さん?!?」
父──麗音は驚きに目を見開く私の顔を見て、どこか満足げに口角をわずかに上げた。
え、な、なんでお父さんがここに…!
「この訓練をクリアしたいなら、私を倒してみなさい」
部屋の気温はすでに氷点下に近い。
麗音の指先から零れ落ちる冷気そのものが、目に見えるほどの暴力となって襲いかかってくる。
もしかして、これがお父さんの能力…!!
「……試すつもりですか。」
「君の実力を見てみたくてな」
叶兎くんは最初は驚きを見せたものの、すぐに氷のように冷静な目で見据え返した。
麗音の視線が一瞬だけ私に流れる。
「それと、娘を任せる相手としてな。」


