「チッ、バレたか……!」
不意を突かれた蓮水さんが、幻覚を維持しきれず苦々しく舌打ちした。
その途端、神代さん(九条くん)の姿もぐにゃりと歪んで銀髪の少年──九条くんの姿へと戻る。
本物の神代さんの手が扉にかかったその瞬間、天音くんが横から猛烈な勢いで飛び込んだ。
「悪いけど、そこは通さないよ!」
「……っ!」
天音くんと神代さんが、もつれ合うようにして床を転がった。
神代さんはすぐに体勢を立て直そうとするけれど、天音くんがその腕をがっしりと掴んで離さない。
その隙に、叶兎くんはもう扉の前に立っていた。
迷いなく大きな扉を勢いよく開け放つと、その途端、牙を剥くような冷気が私たちの顔を叩いた。
「──っ、寒……!」
室内だというのに、吐く息が白くなるほどの異常な低温。
誰もいないはずのがらんとした広い空間。
その中央に、ポツンと一つだけ置かれた台座。
その上で、目標である「対象」──赤い宝石が、妖しく光を放っていた。
「……行こう」
叶兎くんを先頭に、私たち四人が部屋に踏み込もうとした、その瞬間だった。
「遅かったな」
低く、重厚な声が部屋の奥から響いた。
柱の影から、長身の男がゆっくりと姿を現す。


