総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




「チッ、バレたか……!」



不意を突かれた蓮水さんが、幻覚を維持しきれず苦々しく舌打ちした。

その途端、神代さん(九条くん)の姿もぐにゃりと歪んで銀髪の少年──九条くんの姿へと戻る。


本物の神代さんの手が扉にかかったその瞬間、天音くんが横から猛烈な勢いで飛び込んだ。



「悪いけど、そこは通さないよ!」

「……っ!」



天音くんと神代さんが、もつれ合うようにして床を転がった。

神代さんはすぐに体勢を立て直そうとするけれど、天音くんがその腕をがっしりと掴んで離さない。


その隙に、叶兎くんはもう扉の前に立っていた。

迷いなく大きな扉を勢いよく開け放つと、その途端、牙を剥くような冷気が私たちの顔を叩いた。



「──っ、寒……!」



室内だというのに、吐く息が白くなるほどの異常な低温。


誰もいないはずのがらんとした広い空間。

その中央に、ポツンと一つだけ置かれた台座。


その上で、目標である「対象」──赤い宝石が、妖しく光を放っていた。



「……行こう」



叶兎くんを先頭に、私たち四人が部屋に踏み込もうとした、その瞬間だった。



「遅かったな」



低く、重厚な声が部屋の奥から響いた。

柱の影から、長身の男がゆっくりと姿を現す。