「……っ誰……?」
身構える私たちの前に、非常灯の赤い光に照らされて、一人の女性が姿を現した。
神代さんだ。
いつもと変わらない冷徹な眼差しで、彼女は静かにそこに立っていた。
琥珀が迷わず銃口を神代さんへ向け、低く、警戒を解かずに問いかける。
「 ……ひとり?仲間は。」
神代さんは答えない。代わりに一歩踏み出した。
というか、今琥珀は「ひとり」って言ったけど…。
私の目には、神代さんの後ろにはBチームが全員普通に立っている。
…待って……どういうこと?
神代さんが、二人いる……?
戸惑う私の視界の端で、蓮水さんがふわりと片手を伸ばしているのが見えた。
そこでハッとする。
蓮水さんの能力は「幻覚」。
そして、神代さんが二人いるように見えるのは、…私の予想が当たっていれば、九条くんの「変装」能力だ。
つまり、みんなに見えている目の前の神代さんは、九条くんが変身している偽物。
本物の神代さんは、蓮水さんの幻覚に紛れて、別の場所に隠れている…。
私自身に直接作用する能力──天音くんの「魅了」や朔の「洗脳」、蓮水さんの「幻覚」は、私の「無効化」が自動的に撥ね退けてくれる。
だから私には、蓮水さんの術にかけられている皆には見えない「真実」が見えているんだ。
逆に九条くんの変装のような自己強化型の能力は、私が意識して無効化しにいかない限り、そのまま見えてしまう。


