足音を殺して角で止まったところで、重い扉が見えた。
「対象」が設置された部屋のある最終チェックポイント。扉の前には誰もいない。
琥珀が目を細め、静寂に満ちたその空間を睨んだ。
「……静かすぎない?」
空間が、しん、と張り詰めていた。
…確かに、微かに感じる違和感。Bチームはまだ来ていない…?
琥珀は扉に近づき、片膝をついて調査を始めた。取っ手、鍵穴、扉の隙間。指先で繊細に、丁寧に確認していく。
「怪しい痕なし。爆破トラップはない。」
──その時だった。
前触れもなく、天井の蛍光灯がバチンと激しい音を立てて弾け、辺りの照明がすべて落ちた。
「っ──?!」
非常灯の淡い光だけが通路を照らした。
…停電。あまりにもタイミングが良すぎる。
心臓の鼓動が早まるのを感じた。…絶対に、偶然なんかじゃない。
同時に、背後の通路から足音。
一つ。ゆっくりと、確かめるように近づいてくる。
暗闇の中、金属がかちり、と鳴った。
拳銃のセーフティを外す音。


