叶兎くんに抱き寄せられ、私たちは右側の壁際に跳んだ。
直後、頬のすぐ横を色弾が通り抜けていく。
橘さんの、寸分の狂いもない精密射撃。
琥珀が振り向きざまに二発応射し、一発が神代さんの足元で鮮やかに弾けた。
その隙に叶兎くんが前へ出で一瞬で神代さんとの間合いを詰めた。
けど、神代さんは驚くべき反射神経でふわりと後退し、距離を保つ。
……叶兎くんのスピードに、ついていってる…!?
「天音、先に前進んで!ここで止まったらDに横取りされる!」
「了解。行こ!」
「う、うん!」
私たちは天音くんを先頭に、順番に左の狭い通路へとなだれ込んだ。
逃げ場のない一本道。
背後からは色弾の激しい着弾音が聞こえてくる。Bチームか、あるいはDチームの生き残りか。
天音くんは走りながら、私を気遣うように振り返った。
「胡桃っち、息大丈夫?」
「だ、大丈夫…っ!!」
吸血鬼三人と、訓練された人間一人のペースに合わせるのは、正直きつい。でもここで足を引っ張るわけにはいかない。
《Dチーム脱落。残るはA・Bの二チームです。「対象」は最深部の部屋に設置されています》
残り2チーム…!
つまり、どうしたってBチームと正面からやり合うことになる。


