「だから、変な心配してないで集中して。怪我したら許さないからね?」
「……うんっ」
…なんだ、よかった…怒ってたわけじゃなかったんだ。
単純かもしれないけれど、それだけで私の心は一気に軽くなった。
四人で会場中央のゲート前に並ぶと、観客席から一斉に視線が注がれた。
ラストを飾る注目の組ということもあって、空気の緊張感が他とは比べものにならない。
向かい側には、Bチームの四人が静かに立っていた。
神代さんの冷徹な眼差し。
九条くんのやる気に満ちた表情。
蓮水さんの余裕そうな笑み。
そして、橘さんの無機質な構え。
その後ろにも数チームが控え、最終戦は全五チームによる同時スタートとなる。
ビーーーッ!!
激しいブザーが鳴り響き、最終組が開始された。
五チームが一斉にゲートを駆け抜ける。通路は迷路のように狭く、至る所に入り組んでいる。
しばらく進んでとある角を曲がろうとした瞬間、琥珀が片手を上げて制止をかけた。
「ストップ。…これ、ワイヤートラップ。赤外線式だよ」
目を細めて、床を指差す。
「……先に進んだチームの残骸だね。踏んだ跡がある。迂回路は…」
「左の壁沿い。配管の影に隙間あるよ」
天音くんがするりと先行した。
魅了の能力とは関係のない、吸血鬼としての高い身体能力。
天井の低いダクト下を、滑るような動きで抜けていく。
隣にいた叶兎くんが、私の手を力強く取った。
「ついてきて。離れないでね」


