「…ごめんね。私が参加したいって言ったから叶兎くんまで参加することになっちゃって」
歩きながら絞り出した言葉に、ようやく叶兎くんの足が止まった。
焦茶色の髪が揺れ、彼がゆっくりと私を振り返る。
「──え?」
そこには、予想に反してきょとんとした顔の叶兎くんがいた。
「叶兎くん、ほんとは参加したくなかったんでしょ…?ずっと難しい顔してるから…」
数秒、沈黙。
それからふっと息を吐いた。
手が伸びてきて、頭にぽんと乗る。
「…?」
「……違う、難しい顔してたのは考え事してただけ…」
指先がくしゃっと私の前髪を崩した。
「……今日、上の連中も来てるんだよ。俺の動きは全部見られる。──下手打てないから、ちょっと気張ってただけ。ほんとに、胡桃が気にすることじゃない。」
そう言って少しだけ表情を和らげた叶兎くんを見て、胸のつかえが少しだけ降りた気がした。
「……ていうか、胡桃が行きたいって言わなくても、俺はオファー来てたから逃げれなかったと思う…。ただ、胡桃が行くなら同じチームにしてってのは頼んだけど。」
「叶兎くん…」
親指が、私の頬を優しくなぞる。


