総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




刺すような殺気を放つ天音くんと、得体の知れない笑みを浮かべる琥珀。

その不気味な静寂に、私の背中には冷たい汗が伝わる。



「…おい、始まる前から揉めんな。」



九条くんの低い声が響き、天音くんは忌々しそうに琥珀の手を振り払った。



「喧嘩売ってんのそっちじゃん。いきなり何」

「あはは、別にそんなつもりないよ。ただ、人間の女の子にべたべたしてる吸血鬼がいたから、ハンターとして気になっただけ 」

「こ、琥珀、天音くんは友達だから…大丈夫だよ」



これ以上事態が悪化しないようにと、私は必死に間に入った。

琥珀はきっと、前に吸血鬼に襲われた私のことを心配してくれているんだ。

私の言葉に、琥珀の大きな瞳が、一瞬だけ私を捉える。



「……友達、ね。」



その声にはほんの微かな棘があった。が、すぐにいつもの人懐っこい笑顔に戻る。



「まー、胡桃がそう言うならいいけど」

「…胡桃、ハンターに知り合いなんていたのか?」



後ろで腕を組んでいた蓮水さんが、怪訝そうに眉を寄せた。



「あ。うん、ちょっと前に……」



答えに迷っていると、遮るように琥珀が言葉を繋いだ。