刺すような殺気を放つ天音くんと、得体の知れない笑みを浮かべる琥珀。
その不気味な静寂に、私の背中には冷たい汗が伝わる。
「…おい、始まる前から揉めんな。」
九条くんの低い声が響き、天音くんは忌々しそうに琥珀の手を振り払った。
「喧嘩売ってんのそっちじゃん。いきなり何」
「あはは、別にそんなつもりないよ。ただ、人間の女の子にべたべたしてる吸血鬼がいたから、ハンターとして気になっただけ 」
「こ、琥珀、天音くんは友達だから…大丈夫だよ」
これ以上事態が悪化しないようにと、私は必死に間に入った。
琥珀はきっと、前に吸血鬼に襲われた私のことを心配してくれているんだ。
私の言葉に、琥珀の大きな瞳が、一瞬だけ私を捉える。
「……友達、ね。」
その声にはほんの微かな棘があった。が、すぐにいつもの人懐っこい笑顔に戻る。
「まー、胡桃がそう言うならいいけど」
「…胡桃、ハンターに知り合いなんていたのか?」
後ろで腕を組んでいた蓮水さんが、怪訝そうに眉を寄せた。
「あ。うん、ちょっと前に……」
答えに迷っていると、遮るように琥珀が言葉を繋いだ。


