「十分役に立ってると思うけどな、俺は。」
「天音くん……」
「──でも無理すんのはナシね? 約束だよ」
そう言うなり、天音くんはずいっと距離を詰めてきた。
私の返事を待たずに、ぐっと顔が近づく。
さらさらとした金髪が頬をかすめ、耳元で揺れるピアスが太陽の光を反射してキラリと光った。
突然の距離の近さに、思わず心臓が跳ね上がる。
「君、ちょっと距離が近すぎるんじゃないかな?」
その時、いつの間にか背後に立っていた琥珀が、にこりと営業スマイルを浮かべながら天音くんの肩をガシッと掴んだ。
「うわ、びっくりした……別に普通の距離でしょ?」
「普通かなぁ?僕には、獲物を狙う吸血鬼にしか見えないけど」
琥珀は笑顔のまま、掴んだ指先にみしりと力がこもる。
天音くんの瞳から一瞬で軽薄さが消え、鋭い視線が琥珀を射抜いた。
「…お前。…ハンター?」
「そうだけど?」
空気が一瞬で凍りついた。
吸血鬼とハンター。
友好的に言葉を交わすような間柄ではない。


